名古屋で長年愛さていた天ぷらの名店「にい留」様の東京移転に伴い新たな場所でのお店づくりに携わらせていただきました。

店主の天ぷらに対する思いを店づくりに反映させるよう、素材選び・動線・厨房計画・備品など全てに統一感をもたせることに注力した。

店内に入るまでの導入部に真竹の木賊塀、古い白川石の井筒を据えた。千年以上続く神社の参道脇からのアプローチという好立地も相まって都市のど真ん中の空気感から徐々に天ぷら屋さんに行くという雰囲気を作ることができた。

続いて、瓦葺きの屋根、軒下の吊り行灯、腰掛け待合などの半外部空間を経てようやく客席に入るという外部から内への変化をもたせ、気持ちの「間」や「期待感」を感じられるような清閑な空間を演出した。

店内のカウンターは油との馴染が良く経年変化も楽しめる栗の一枚板とするなど上質な天ぷらにふさわしい空間にするためにほとんどの材料を「本物」の素材（無垢の木材、土壁、など）を使うようにした。

法令上、通常は木材が使えない箇所も無垢材を不燃加工して使い、違和感のない内装空間を作ることができた。